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炊爨理論


1.最初に

炊爨(すいさん)とは、主に野外炊事の事を言う。
野外炊事のなかには、子供たちの冒険心、探究心、好奇心などをくすぐる要素が、たくさんある。
ここでは、その野外炊事を行う上で、必要な知識、ポイントなどを、共に学び、考えていく。


2.炊爨の流れ

薪集め→→かまど作り→→火起こし→→調理→→食事→→後片付け

この流れを忘れずに、次に何をすればよいのかを考えながら、作業に当たれば、 炊爨にかかる時間も短縮できるはずである。 この中では、準備、調理、食事、後片付けを取り扱っていく。


3.用意するもの

《準備》
飯盒(はんごう)、薪、小枝、新聞紙、鉈(なた)、軍手、マッチ、うちわ、スコップ

《後片付け》
ほうき、ちりとり、洗剤、スポンジ、ごみ袋、ふきん、台ふきん


4.薪集め

《薪の種類》
やわらかい木・・・爪で筋がつくようなやわらかい木は、火付きがよく、火力も大きいが、火持ちがよくない。
かたい木・・・爪で筋がつかないような、かたくて重い木は、火付きは良くないが、火持ちは良い。
腐った木・・・火持ちも悪く、すぐに燃え尽きる。
枯れ葉・・・松やヒノキなどの針葉樹の枯れ葉は、火力が強い。焚き付け用として使う。
小枝・・・細い枝、太い枝をそれぞれ集めておく。焚き付けと用して使う。

  • 集めた薪は、種類別に分けて1ヶ所に集めておくと、とても便利である。その際には、
    露や雨で湿らせないように、何か覆いをしておくと良い。
  • 薪集めには、意外と時間がかかるものである。そのことも考慮に入れる。
    また、あまり近い場所ばかりから薪を集めてしまうと、その周辺には薪がなくなってしまい、
    後から遠くに取りに行く羽目になる。時間に余裕のある時には、少し遠いところから、
    薪を取ってくるようにした方が良いだろう。
  • 薪集めの時は、軍手を付ける。


5.かまど作り

必要な道具=軍手、付近にある石、枝など、(スコップ)

《かまどの場所選び》
以下の点に注意しよう。
  • かまどを作ってよいところなのか?
  • かまどの周りに燃えやすいものは無いか?
  • かまどの周りは湿っていないか?
    ⇒前日の雨や明け方の霜によって。もし湿っていると、火起こしがとても困難なものになる。
    もし、湿っている場合には、小石や乾いた薪を敷き詰めると良い。
  • テントや立ち木の側であったり、付近に燃えやすいものがあったりしないか?
    ⇒火災の心配が無いところ。
  • 足場は悪くないか?
    ⇒つまずいたり、滑ったりして、危険を伴うため避ける。

《かまど作りのポイント》
  • 風向きを考える。
    ⇒十分な空気が入るように、入り口を風上側にする。
  • 規模を考える。
    ⇒使う道具や種類を考慮して、大きさを決める。大きすぎると薪を無駄遣いすることになる。
  • 飯盒と火との距離
    ⇒20cmが適当。穴を掘ったり、石を積んだりして調節する。


6.火起こし

必要な道具=軍手、マッチ、新聞紙、うちわ、薪など
新聞紙→→枯れ葉・小枝→→細めの薪→→主力となる太い薪
という順で徐々に火を大きくしていく。

〔手順〕
  1. まず、新聞紙を一枚切り取り、柔らかめに丸め、かまどに入れる。
  2. 新聞紙の周りに、落ち葉や木くず、小枝、細い薪などを多めに入れる。
  3. 新聞紙に数ヶ所から点火する。
  4. うちわで激しく空気を送る。新聞紙が燃え上がる。
  5. しばらくすると、小枝、細い薪に火がつく。空気を送りつづける。
  6. 細い薪の火が安定し出したら、徐々に太めの薪を入れていく。入れた薪に火が付き、
    安定するまでは、うちわをあおぎつづける。
  7. 火が強すぎたら、木の何本を取り除いてみる。このように、木を出し入れし、
    うちわであおいだりして、火力を調節する。

《火起こしのポイント》
  • 薪を組むときは、必ず空気の流れを考えて、十分に空気が供給できるようにする。
  • 最初の細い薪は少し多めに。
    ⇒少なすぎると火が消えてしまう。また、細い薪は、燃えた後に炭がたくさんできて、火が安定する。
  • 新聞紙があまり多すぎると灰が料理に入ることになるので、できるだけ少ない方が良い。
    また、うちわをあおぐときも、小刻みに振れば、灰が飛ぶことなく十分な火力が得られる。
  • もし、薪が湿っている場合は、まず、小枝などに火をつけ、その周りに薪を置き、乾燥させる。
    または、なたなどで薪を細かく切る。

《なたの使い方》
  1. 利き手は軍手をはずし、利き手と逆の手には軍手をはめる。
  2. なたを利き手で持ち割る木を反対の手でもつ。
  3. なたの刃を、割りたいところに当て、2cmほど差し込まれるまで、コンコンと軽く地面にたたくようにする。
  4. 刃が木に噛んだら、ちょっと強めに地面にぶつける。
  5. 木が先割れしてきたら、なたを左右にねじってみる。
  6. きれいに割れる(はず)。
注)なたの取り扱いは十分に気をつける。大事故を招きかねない。(使わないときは、ケースにしまうなど。)


7.調理(飯盒でご飯を炊く)

必要な道具=飯盒+火起こしの道具など

《米をとぐ》
  1. 米を計る。
    ⇒外ぶたが、すりきり3合、中ぶたが、すりきり2合になっている。
    山盛りで計ると、ご飯に芯が残ってってしまう可能性がある。
  2. 米を本体に入れる。
  3. 水をたっぷり入れ、手で軽くかき回す。
  4. 米が流れ出ないように、手を添えて水を捨てる。
  5. 手で握るように、シャッシャッと、とぐ。
  6. にごった水を捨てる。
  7. 鍋の目印まで水を入れる。
    ⇒その後30分ほど吸水させる。
※米の量の目安は、小学校高学年男子で1~1.2合。小学校高学年女子で0.8~1合。

《ご飯の炊き方》
  1. 吸水させておいた飯盒をかまどにセットする。中ぶたは、はずしておく。
    複数の飯盒を一度に炊くときは、向きをそろえないようにする。
  2. 点火。薪組みなどは、吸水の間に済ませておく。
  3. 炊き始めの火加減はやや弱め、徐々に強くする。最終的には火が飯盒にかかるようにする。
  4. 煮汁が吹いてきたら、弱火にする。このとき、弱火過ぎて煮汁が消えないように。
    外ぶたにスプーンや細い薪を当てて、グツグツ感を確かめる。
  5. 煮汁が吹かなくなって、グツグツ感が無くなっていたら5分ほど置いて、火から下ろす。
  6. 飯盒を逆さにし、底をたたいて、15分ほど蒸らす。このとき、新聞紙ですすを取る。
  7. もし、芯が残っている場合には、箸などで10ヶ所以上に穴をつくり、
    少し水を足し、2~3分ほど中火で炊き直してみる。


8.後片付け

  • 飯盒の焦げ付きは、丁寧に落とす。
    (事前に、飯盒の外側にクレンザーを塗っておくと落としやすい。)
  • きれいに洗う。(なかのぬめりが取れるまで。)。
  • かまどのそうじ。
  • 周辺のゴミ拾い。
※炊爨は やる前よりも 美しく


9.こんな事を頭において見ては

  • 子供と一緒に行う炊爨は、大人だけでやる以上に、危険が伴うであろう。
    実際にどのような危険が起こりうるのかを、想像しながら炊爨に臨んではどうだろうか?
  • 初めにも書いたが、炊爨の流れに沿って、「今、何をすべきか。」、
    「次には、何をすべきか。」を考えることによって炊爨の時間が短縮できるだろう。
    その時間を使って様々な有意義なことができるだろう。
  • 今回のコンセプトを考慮して、スタッフは、あまり手や口を出さずに、
    子供たちが、考え、作り上げていくのを見守るのも、一つの手段であるだろう。
    炊爨も、コンセプトを達成するための重要な手段であることを忘れずに。
  • 実際に、子供と行うときは、事前の指導と、適切な目配りが危険を避けるために不可欠。
    スタッフ一人一人が、危険に関して、高い意識をもつ。


10.最後に

調理や後片付けは、慣れないと予想以上の時間がかかるものである。
この食事の時間が長引いてしまい、キャンプのスケジュール全体に影響を及ぼすことが、しばしばある。
したがって、何度か書いたように、炊爨全体から、早め早めに仕事の手順を考えておいて、
できるだけスムーズに仕事を行う必要がある。
また、できれば、全員が練習をして、スキルアップし、
手順や段取りを体で覚えているくらいであってほしいと思う。

2001年5月16日 担当:ケネル、トホホ